建設リサイクル推進計画

   

 

 

 

 

平成11年1月

 

 

 

 

 

 

 

沖縄地方建設副産物対策連絡協議会

 

 

 

 

 

 


    

目   次

 

                            

第1 基本的考え

  

1.計画の位置づけ          

2.計画策定の背景と目的
            
                        
3.計画の実施主体と対象                                    

4.計画の基本的考え方                                     

5.計画の目標                          

6.計画のフォローアップ             

 

  

第2 行動計画の概要

                 

 

1.公共工事発注者としての責務の徹底     

 

2.公共工事におけるリサイクル事業の推進    

 

3.民間建築における建設リサイクルの推進     

 

                    


  第1 基本的考え方

 

1.計画の位置づけ

 

建設省の建設リサイクル推進計画’97(平成9年10月)は、建設リサイクル推進懇談会提言を踏まえて策定されたものである。
  沖縄地方建設リサイクル推進計画(以下「本計画」という。)は、建設リサイクル推進計画’97の内容を包含し、沖縄地方における地域特性や事業計画等を考慮し、目的が達成されるよう計画したものである。



 

2.計画策定の背景と目的

 

2−1 計画策定の背景

 

  沖縄県は、沖縄本島を中心に宮古諸島、八重山諸島などの40余の有人島を含む日本唯一の島嶼地域である。昭和47年の本土復帰以来、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき、本土との格差是正と自立的発展の基礎条件の整備を図るため、道路、港湾、空港、水資源開発等の社会基盤整備が推進されてきている。そのため、建設資材が多量に利用されている一方、近年では大量の建設副産物が発生している。また、1970年代に造られた大規模な公共施設が塩害等で取り壊し時期を向かえる他、県内に所在する米軍施設の一部について、今後数年間の内に返還・跡地利用を進める計画があり、今後も大量の建設副産物が発生すると予想される。
  また、土地利用の高度化及び環境意識の高揚に伴い建設廃棄物を処分するための最終処分場の受入地が減少していることもあり、不法投棄等も増加し観光立県を目指す沖縄において社会問題化している。
 よって沖縄の今後の基盤整備を推進する上で建設副産物を資材としてリサイクルすることが不可欠であり「資源循環型社会」を構築するためには、建設リサイクルを先導的かつ強力に推進することが極めて重要な課題である。

  このため、平成6年4月に、沖縄総合事務局や沖縄県、関係公団等を構成メンバーとする沖縄地方建設副産物対策連絡協議会が、リサイクル率の目標等を定めた沖縄地域建設副産物対策行動計画<リサイクルプラン21>を策定するなど各種の施策を講じてきたところである。
  しかしながら、平成7年度の建設副産物実態調査とリサイクルプラン21の内容を比較検討した結果、全体としてリサイクル率は向上し一定の成果をあげているが、コンクリート塊はリサイクル率が70%を越える一方で、建設混合廃棄物、建設汚泥、建設発生木材のリサイクル率が低迷しているなどの課題があり、建設リサイクルのより一層の推進のため、従来の施策を見直し抜本的に充実・強化することが必要になっている。

2−2 目 的
 

このような観点から平成8年8月に建設省と建設業界は共同で学識経験者などからなる「建設リサイクル推進懇談会」を設置し、懇談会は、建設リサイクル推進の在り方について検討を行い、建設リサイクル推進懇談会提言(平成8年11月20日)としてとりまとめた。
 建設本省においてはこの提言を踏まえて、建設省における建設リサイクルの推進に向けた基本的な考え方、目標、具体的施策を内容とする「建設リサイクル推進計画’97」を平成9年10月に策定した。
  沖縄総合事務局においても以上のような認識を踏まえて、リサイクルプラン21を見直し、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会としての建設リサイクル推進に向けた基本的考え方、目標、具体的施策(以下「行動計画」という。)を内容とした「建設リサイクル推進計画」を策定するものである。


 

3.計画の実施主体と対象

 

  本計画は、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会に参加する会員が実施する建設工事全体を対象としている。すなわち、沖縄総合事務局等の国の工事はもとより沖縄県をはじめとする地方自治体工事、公団工事、建設業団体が実施する民間の建設工事についても、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会の活動等を通じて、本計画が実現されるよう努力する。


 

4.計画の基本的考え方

 

  建設リサイクルを推進するに当たっては、対象となる建設廃棄物や建設発生土の発生量を減らすことが重要であり、第1に発生抑制に取り組むことが必要である。特に、発生抑制を図る際には、施工段階での取り組みでは限界があり、計画・設計段階で取り組むことが必要である。

  また、発生したものについては、極力再利用や減量化を図るべきである。

  その上で、再利用や減量化が出来ず、最終処分せざるを得ないものについては適正に処理することが必要である。

  本計画は、以上の「資源循環型社会」の構築の観点から、建設廃棄物及び建設発生土について、計画・設計段階から施工段階までの各段階において、

 @発生抑制、

 A再利用の促進、

 B適正処理の推進

を3つの基本施策とし、また、

 C新たなしくみの構築、

 D技術開発の推進、

 E理解と参画

を基本施策を支える3つの基盤施策として、これを具体化するための行動計画を定めている。

 

  特に行動計画の策定に当たっては、以下の事項に重点を置き検討を行いとりまとめた。

 

1.公共工事発注者としての責務の徹底

2.公共工事におけるリサイクル事業の推進

3.民間建築における建設リサイクルの推進



 

5.計画の目標

         

  建設リサイクル推進懇談会提言では、建設産業を「ゼロ・エミッション」産業システムの中核として位置づけ、再利用可能な建設副産物に処分量ゼロを目指すべきとしている。
  本計画においては、建設廃棄物は将来的には最終処分量をゼロとすることを目指し、また、建設発生土は将来的には建設工事に必要となる土砂は原則として工事間流用でまかなうこととして、当面2000年(平成12年度)までに達成すべき目標を以下のとおり定め、より一層の取り組みの強化を図ることとする。
  ・建設廃棄物については、最終処分量を半減させるため全体のリサイクル率 を80%とするとともに、リサイクルプラン21の目標値を一部見直し、ア スファルト・コンクリート塊及びコンクリート塊のリサイクル率を80%か ら90%に引き上げる。

  ・建設発生土については、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会を通じて事業 間毎の連携を密にし、発生土の徹底した利用を図ることによりリサイクル率を80%とする。

  この目標を達成するためには、国の工事をはじめとして公共工事が先導的な役割を果たすことが必要であり、公共工事発注者は、より高い目標を掲げて最大限の努力を行うことが必要である。

 

       本計画の目標(リサイクル率の目標値)      (単位:%)

















 

 

平成7年度

  平成12年度

  建設廃棄物

  53

  80 (75)









 

 a)アスファルト・コンクリート塊

  45

  90 (80)

 b)コンクリート塊

  72

  90 (80)

 c)建設汚泥

   5

  40 (40)

 d)建設混合廃棄物

  16

  65 (65)

 e)建設発生木材

   6

  80 (80)

 f)建設発生土
 

  50
 

  80 (80)
 
















 

            ( )内はリサイクルプラン21の目標値


 

6.計画のフォローアップ

 

(1)実施方法

  本計画に示した各種施策の実施状況は、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会においてフォローアップする。
  フォローアップに当たっては、平成10年度以降、毎年、沖縄地方建設副産物対策連絡協議会において建設副産物実態調査(簡易型センサス)を実施し、本計画における数値目標の達成状況を評価する。

 

(2)計画の見直し

本計画は、フォローアップの結果等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うものとする。

 

第2 行動計画の概要

 

  「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(H9.6.18改訂)では、廃棄物処理責任は排出事業者となる元請業者になるが、建設廃棄物の排出量の6割は公共工事から排出されており、公共工事における建設リサイクルを促進するに当たっては、特に発注者の取り組みが重要である。また特に、リサイクルの遅れている建設混合廃棄物等はほとんど民間建築から排出されるものであり、民間建築でのリサイクルの推進が重要である。従って、本計画の目標を達成するため、以下の事項に重点を置いて検討を行い、速やかに実施する施策を行動計画としてとりまとめた。

1.公共工事発注者としての責務の徹底

2.公共工事におけるリサイクル事業の推進

3.民間建築における建設リサイクルの推進

 

1.公共工事発注者としての責務の徹底

 

[主要課題]

  ・公共工事は、膨大な量の建設副産物の発生元でありかつ受入先。廃棄物等の処分が大きな社会問題となっている中、公共工事発注者が、建設副産物の発生の抑制や再利用の拡大に積極的に取り組むことは、その基本的な責務である。
 ・以上のような認識のもと、沖縄地方建設副産物連絡協議会では、リサイクルモデル事業工事を実施するなど、建設副産物の再利用に向けた各種の施策を実施してきたところである。
 ・しかし、建設工事から排出される廃棄物の量は依然として多大であり、公共工事発注者は、一層の責任を果たしていくことが求められており、建設リサイクルを幅広く推進していくことが必要である。

 以上の主要課題を検討した結果、以下の主要な施策を速やかに実施する。

 

[主要な実施施策]
@建設廃棄物の発生抑制や建設副産物の再利用の一層の促進のため、計画
  ・設計段階における取り組みを実施

   計画・設計段階において資源利用量、再利用量、最終処分量等の概要をまとめたリサイクル計画書の作成を義務化。このため、共通仕様書を改定
A経済性にかかわらず、工事現場から一定の距離以内に他の建設工事及び再資源化施設がある場合に再生資源の利用及び再資源化施設の活用を原則とする措置(以下、「リサイクル原則化ルール」という。)等の徹底と対象拡大
  ・コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊及び建設発生木材についてのリサイクル原則化ルールの徹底
  建設汚泥、建設混合廃棄物についても、リサイクル原則化ルールを導入
  ・工事の仕様書において建設副産物の処理方法を指定・条件明示する措置の徹底
B適正処理を確認し、不良処理業者を排除するための追跡調査等の実施
  ・建設省所管の事務所において追跡調査を実施
Cリサイクル等に資する研究・技術開発の推進
  ・再生資源活用のための試験研究の推進と、その成果を活用した技術基準類の整備
D公共工事発注者間の連携強化のための建設副産物対策連絡協議会の充実
  ・他省庁、民間の参画
  ・各土木関係事務所、市町村単位での連絡調整体制の整備

 2.公共工事におけるリサイクル事業の推進

 

[主要課題]
  ・アスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊については、リサイクル原則化ルールの適用、利用基準の整備等により、市場の形成が進みリサイクル率が向上
  ・今後さらにリサイクル率の向上を図るためには、現場内でのリサイクル関連事業の推進、再生資源の積極的利用、時間的・質的ミスマッチを補うストックヤードや情報交換システムの整備等が必要

  以上の主要課題を検討した結果、以下の主要な施策を速やかに実施する。

 

[主要な実施施策]

@ゼロ・エミッションを目指したリサイクルリーディング事業の実施
A再生資源の利用拡大を図る大規模再生資源活用事業の実施
B廃棄物処理法の再生利用制度等を活用した建設汚泥再生利用事業の実施
C建設発生土の公共工事間利用促進のための情報交換システムの構築
D先行買収用地等のストックヤードとしての利用計画の策定

 3.民間建築における建設リサイクルの推進

 

[主要課題]

  ・民間建築から排出される建設混合廃棄物や建設発生木材は、リサイクル率が低迷

[主要な実施施策]

@再生資材利用の徹底
A再生資源化促進に向けた分別解体の徹底