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やんばる国道物語

復帰後の道 (1972年〜2000年)


(8/9)

石川バイパスの文化財保護

文化財を地上・地下に保存

 

石川バイパス
   一般国道329号は、名護市を起点として、 宜野座 ぎのざ 村、 金武 きん 町、石川市等を経て本島を 縦断 じゅうだん して那覇市に至る、延長76.7キロの 幹線 かんせん 道路です。
その中間点にある石川市中心地域は、急激な宅地開発等による 慢性 まんせい 的な交通渋滞に悩まされていました。1990(平成2)年、慢性的な交通渋滞を解消するため、バイパスを整備することになりました。
  石川市 伊波 いは 地区周辺は、貴重な文化遺産が数多く残されています。特に伊波 丘陵 きゅうりょう には、国指定史跡である伊波貝塚をはじめとして、伊波 城跡 じょうせき 古我知原 こがちばる 貝塚等遺跡が集中しています。およそ3000〜3500年前の遺跡と、グスク時代前期(12〜13世紀)の遺跡に分けられますが、いずれも史跡的価値がたいへん高いものです。
  ところが、これらの遺跡のうち、ノロの墓、 伊波古島 いはふるしま 遺跡、ウブガーの三遺跡が計画ルート上に位置することが分かりました。そこで遺跡の歴史的価値を 考慮 こうりょ して、工事に際してこれらの文化財は、保存・整備されました。そして現在では、地域の新しいシンボルとなっています。
 
   
伊波ヌール墓
   石川バイパスのルート上にある伊波ヌール墓(注1)は、首里王府時代に、伊波、 嘉手苅 かでかる 、山城、石川の各集落の年中祭祀を つかさど っていた 公儀 こうぎ ノロ・伊波ヌールの遺骨を納めたといわれています。
墓のある山の地質は、 千枚岩 せんまいがん とその上部に 堆積 たいせき した琉球 石灰岩 せっかいがん であり、通常はトンネルを通す地質条件ではありません。しかし墓を保護するために、バイパスをトンネルにして通すよう計画されました。
  こうして石川トンネルは1992(平成4)年9月に着工され、墓のある丘陵地を つらぬ く形で造られることになったのです。着工から2年の歳月を経て、1994(平成6)年に、延長165メートルのめがねトンネルが完成しました。
 
  伊波ヌールの墓の下を貫く石川トンネル[ボーダーインク]
   
ウブガー
   ウブガー(注2)は1200〜1300年代に作られたとされています。伊波区には、ウブガー以外にも伊波ガー、ヌールガーなどのカーがあり、そのためこの一帯は、カーの端(はた=そば)という意味の「かあはた」が なま った「かあた」と呼ばれていました。
湿地帯 しっちたい でもあったため、人の往来には不便でしたが、1932(昭和7)年、湿地の一部を めるなどして造られた「かあたみち」が開通し、以来、人々の交通を ささ えてきました。しかし車が一台通るのがやっとの せま い道で、近年増え続ける交通量支えるために、新しい道を造る必要がありました。
石川バイパス工事前のウブガーは草地の中にあり、後方の小高い斜面には数本の大木が生えていました。保存にあたってウブガーの高さを調べたところ、ウブガーは、バイパスより約6メートル低い位置にありました。そのため、新設道路の地下部屋を造り、そこにウブガーを保存することになったのです。
また、同地区は通学路にあたり、道路横断者が多いことも考慮して、ウブガーの横を通り抜ける地下横断歩道もあわせて造られました。横断地下道の設置は、沖縄県内でもわずかの例しかありませんでした。
現在、石川バイパスを はさ んで両側にある 赤瓦 あかがわら 東屋 あずまや を下りていくと、地下から安全にバイパスを横断することができ、門型に囲われて大切に保存されたカーが見られます。
地下への入り口となる 東屋 あずまや は、 切妻 きりづま 屋根とし赤瓦と 漆喰 しっくい を使用して、沖縄らしさを演出しました。東屋を含め、地下横断歩道の全延長は41.75メートルに及びます。
 
  バイパス工事着工前のウフガー(平成5年7月頃)[ボーダインク]
 
  現在、地下横断歩道内に保存されているウフガー[ボーダインク]
   
伊波古島遺跡
   伊波古島遺跡は、 埋蔵文化財 まいぞうぶんかざい としては記録になく、計画ルート及び道路構造の変更が困難なため、約2か月の発掘調査を行い、記録保存を行うこととしました。
 
  地下横断歩道入口の東屋[ボーダインク]
   
   
 
用語解説

(注1)伊波ヌール墓

 墓は、がけ下のほらあなを利用した掘り込み式です。墓室内にはサンゴ石灰岩製蔵骨器11基と陶製蔵骨器4基の計15基が安置されています。ほとんどの蔵骨器に2体分の遺骨が納められていますが、遺骨の人物や年代を特定する銘書(ミガチ)は見あたりません。現在でも、ウマチーや清明祭の時に参拝の人たちが訪れるなど、地域的信仰の対象となっています。1994(平成6)年、貴重な文化財として市の指定を受けました。

 
(注2)ウブガー

伊波区発行の『伊波区誌』に、「産泉は古い時代から戦前まで住民の生活の中で密接な関わりを持ち、霊泉として崇められたカーであった」とあるように、古くから人々の信仰の対象として大切にされてきました。ウブガーは「産井」と書きますが、その字の通り、伊波村の人々は子供が生まれてから一生を終えるまで、ウブガーの水を、祭事の際に大切に使ってきました。

   

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