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やんばる国道物語


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やんばる国道物語

やんばるの伝説をたずねて


 (19/23)

金 武 の 洞 窟

(金武町)

 

 昔、奈良のあるお寺に、若いお坊さんがいました。たいへん優れた人だったのですが、「こいつを行かしておくと、いつかこいつに政治をにぎられてしまい、あとはどうなるかわからない」と、お寺の上役たちは不安がり、このお坊さんを殺すたくらみが進められました。

 

 この上役の悪だくみを知った若い坊さんの仲間たちは、知らないうちに命を ねらわれているお坊さんを救うために、こう説得しました。

 

「あなたはここにいたら命がない。たいへん危険である。あなたの命をわれわれにください。死んだつもりで命をください」するとお坊さんは「みなさんがそれほど言うなら好きなようにしなさい」と答えました。

 

 それで仲間たちは頑丈がんじょうな箱を作り、食料をたくさんめて、お坊さんを中に入れて、そのまま海に流してお寺から脱出させました。

 

 箱は波に流されて、はるか遠く南の島・沖縄北部の金武きんの浜に漂着ひょうちゃくしました。そのころ金武の村では、7歳から12、13歳の子供たちがたびたび行方不明になっていて、村人は原因が分からず、不安な毎日を過ごしていました。村の人たちみんなで、六尺棒ろくしゃくぼうを持って子どもたちをさがしまわっていたところ、海から大きな箱が流れ着いていたので、箱を引き上げて中を開けたら、お坊さんが出てきました。村人は大変驚きましたが、そのお坊さんを村に案内しました。

 

 するとお坊さんは「この村には人を食べるジャー(へび)がいる。たびたび子供がいなくなっていませんか。一人歩きは危ないですぞ」と、村人に警戒けいかいをうながしました。そして洞窟どうくつの前でお経を唱えると、ジャーが出てきて、その場のたうち苦しむとやがて死んだそうです。

 

 そこで村人はお坊さんに「ぜひここにお寺をつくり、お守りください」とお願いしました。それが、いまの金武の寺だということです。

 

 このお坊さんは、実は、真言宗しんごんしゅう(空海が中国から密教みっきょうを伝えて開いた仏教の一宗派)の日秀上人にっしゅうしょうにんだといわれ、「沖縄大百科事典」や「拝所回り200選」では次のように記されています。19歳のとき人を殺してしまい、出家した日秀上人は、修行の場として有名な高野山こうやさんに入り、ついに密法の奥義おうぎをうけます。

 

 さらに、観音所在かんのんしょざい浄土じょうどを求めるために、小舟に乗って手に香炉こうろささげ、風波にまかせてたどり着いたのが、南の島沖縄の那覇だということです。

 

 また、金武の富花ふっくわの港に着いて、ここを観音浄土として宮を建てまつったとも伝えられています。

金武の洞窟(写真の奥)

 


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