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海のゆりかごとも称される藻場は、多くの生物の生活の場となっています。藻場は魚やゴカイなどの海の生き物にとって、産卵の場や隠れ家、餌場などとして役立っています。また、海草自体が食料として採取されるほか、昔は海岸に流れ着いた海草を畑の肥料としても利用されてきました。
近年、海水温の上昇や台風の大型化等によって海の中の環境が変化してきており、全国的に減少傾向にあるようです。
やむを得ず、工事により貴重な海草藻場が消失するため、その保全策として海草藻場の濃生域を移植することに致しました。 移植については平成10年度に手植え移植実験、平成13年度に機械化移植実験等を行い、 それらで得られた知見に基づき移植計画を作成し、平成14年度に環境保全措置をして手植えによる海草移植を実施しました。
海草の手植え移植は、ダイバーの手作業によって行いました。まず、海中にてスコップ等を用いて30cm×20cm程度の大きさの海草を採取します。 そしてそれをバットに入れて船で移植地まで運び、再びダイバーによる手作業で千鳥格子状に移植しました。
手植え移植の現在の状況です。(平成19年9月21日撮影)移植後、約4年半が経過した現在、これまでに来襲した台風にも大きな影響を受けず、安定した生育を続けています。
平成10年度に海草移植が可能かを確認するために、リュウキュウアマモとボウバアマモを対象に手植え移植実験を行いました。 手植え移植とはダイバーの手作業によって海草を採取・移植するものです。3地点への移植実験により2地点は良好に生育し、 生育が良くなかった1地点もその後の調査で底質が要因となっていることが確認されました。以上のことから底質等に配慮すれば 海草の移植が可能であると判断されました。
平成13年度にはバックホウを用いた機械による海草の移植実験が行われました。 この結果から水深による生育状況の差や台風による底質の撹乱による移植藻場の消失など、移植に適した条件ついて数多くの 知見を得ることができました。しかし、機械化移植については課題も残っており、実用化には至っていません。
場の創造とは、海草を移植する際により海草の生育に適した「場」を積極的に創造し、そこに移植を行うという考え方です。
海草の生育において大きな要因となるのが、台風に代表される波浪です。波浪は海草が根を伸長させるための砂を減少させたり、 台風などの高波浪時には海草を根こそぎ砂ごと消失させたりします。そこで、その波浪を抑えるための低天端堤(潜堤)を設置し、 その背後に海草が生育し易い砂(盛砂)を投入しました。 盛砂は砂の安定効果をみるため、「砂のみ」と「砂と海草」の2つに 分けて比較を行っています。また、波を抑えるための低天端堤には魚やウニなどの生育する魚礁としての効果も期待されます。
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