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やんばる国道物語


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やんばる国道物語

やんばるの伝説をたずねて


 (3/23)

イ ビ ぬ 前

(国頭村)

 

 1609年以前の奄美諸島あまみしょとうは、琉球の属領でした。まつりごとをり行う祝女ノロが交代する際には、はるばる船渡りをして、首里王府の認証にんしょうを受ける習わしとなっていました。

 

 あるとき喜界きかい島で祝女が亡くなり、その後継あとつぎとして、祝女の子である若い娘が継ぐことになりました。その娘は、慣例によって首里王府の許可を受けるために、琉球へ渡りました。喜界の若祝女となるその娘はたいへん美しく、琉球王国はすっかりれこんでしまい、いろいろな手をつくして、とうとう娘を我がものにしてしまいました。

 

 やがて時が来て、娘は喜界島に帰ることになりました。しかし娘は帰る船の中で悩んでいました。

 

 「まつりごとにたずさわる祝女の身は清純せいじゅんでなければならない。それなのに、自分は国王に純潔じゅんけつけがされた身。どうしてまつりごとが出来ようか。もう私には神聖な祝女の資格はない。どんな顔をして島へ帰れようか。神様よ、どうぞ波風を立たせて私の命をうばってください」

 

 すると国頭辺土名の沖で天地も暗くなるほどの大風が巻きおこり、若祝女は船もろとも大波にのまれてしまいました。

 

 数日後、辺土名の海はまだしけが続いていましたが、大石の海岸には海草とともに白衣をまとった若祝女の亡きがらがただよっていました。ちょうど大石の前を通った辺土名村の発祥地ウイシマの四番里之子さとぬしが「この人はこの気品と装束しょうぞくから、ただならぬ身分の方であろう」と信じ、近くの森の聖地せいち・イビぬ前に手厚くほうむったということです。

 

 後にこの話が首里王府へ伝わり、四番里之子は、褒美として、イビぬ前一帯の田畑を御拝領地として賜ったと伝えられています。

 

辺土名のイビぬ前

 


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