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やんばる国道物語


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やんばるの伝説をたずねて


 (13/23)

伊 野 波 の 石 く び り

(本部町)

 

 その昔、現在の渡久地とぐち港から伊野波いのはまで入江で、船の停泊地ていはくちとしてにぎわっていたといいます。「石くびり」とよばれる道は、村落の東にある小高い丘にあって、山間の並里なみさとへ通じています。その鬱蒼うっそうとした小道はいにしえのロマンスを伝える琉球古典舞踊の歌の舞台として、とみに有名です。

 

   伊野波の石こびれぬふぁのいしくびり  無蔵つれてのぼるんぞちりてぃぬぶ

   にやへもふぃんこびれくびり  遠さあらな

 

 歌の意味は「伊野波の石ころ道の坂は、たいへん難儀なんぎな道だけども、愛する人をつれて上がるときには、もっともっと長く続く道であってほしい」という、熱い内容の恋歌です。

 

  「石こびれ(石くびり)」は石ころ道の坂の意味、「にやへも」はもっと、「あらな」はあってほしいという意味です。

 

 ある言い伝えでは、伊野波に生まれた男性と山向こうの集落に生まれた女性は、お互いに相思そうしの仲でした。夜になると二人は共に伊野波部落に泊まって愛を語らい、つぎの朝早くには女を送るために、二人は石くびりまでやってきました。

 

 鬱蒼としたその小道は、幅も三尺さんじゃく足らずの坂道で、奥へ行けばいくほど小石まじりの急な坂です。人目を気にしないでいられる格好かっこうの場所なので、二人は互いに熱い思いを語り合いながら歩いてやってきます。

 

 しかし石くびりをすぎると、村人の目も気にしなければならず、やがて別れなければなりません。こんなけわしい道でもっともっと長く遠く続いてればいいのに・・・。

 

 そんな若い二人の恋する気持ちと別れの切なさを、見事にんだのが「伊野波節」なのです。古典音楽の中でも珍しい「本調子ほんちょうし」の独唱どくしょうの節歌で、その歌唱かしょうは大変高度な技を要求されます。舞踊も「諸屯しゅどん節」と並んで、もっとも難しい女踊りとされています。

 

 伊野波部落の小高い丘の鬱蒼とした茂みの小さな坂道は、現在も昔の面影をとどめています。その入口から約50メートルほどのところには「伊野波節」の歌碑かひが立っていて、古典的なロマンスを今に伝えています。

小高い丘のうっそうとした茂みの中にある伊野波の石くびり

 


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