東恩納の北海岸に「あらぶち」という場所があります。沖縄が群雄割拠(していた時代、具志川(間切天願(に、天願タロジーという武士がおり、その妻天願マグジーはたいへんな美人だったそうです。天願タロジーは金武(間切の金武奥間という武士と石川湾をへだてて、対立していました。
ある日、金武奥間は、天願タロジーの屋敷に忍び込み、天願タロジーを刺(し殺します。さらにその妻マグジーを拉致(して自ら背負って、金武へと急ぎ戻ろうとしました。
背負われていたマグジーは静かにし金武奥間を油断(させておきました。「あらぶち」あたりにさしかかったころ、突然ふところにしのばせていた小刀で、金武奥間を刺し殺してしまいました。
その後マグジーはもとの住み家には戻らずに、あらぶちの洞窟(に入りそこを住み家にしたそうです。人々はこの洞窟を「マグジャー」と呼びました。
マグジーは、この洞窟で紬(をつむぐわびしい生活を続けたということです。しかし他の伝承(によると、伊波按司(の愛人になったとも伝えられています。
やんばる船が、石川湾に入港するとき、船乗りたちはこの洞窟にやってきて、独り身のマグジーをからかうので彼女はこれをうるさく思い、入港をさまたげるまじないをかけたら、湾内はあれて、船が入港できなくなったと伝えられています。
またマグジーが夜な夜な糸車を鳴らして、夜仕事をしていると、夫の天願タロジーの亡霊がやってくるので、一帯では、夜は、糸車の仕事を止める習慣になったそうです。
天願マグジーに関する伝承として、次のような歌が伝えられています。
あらぶちんざなや
んざさぬかまらんどー
天願(まぐじが
腹(ぐすい
意味は、「あらぶちにあるニガナはにがくて食べられないよ。それは天願マグジーの腹ぐすりだからだ。」 |