| 昔、まじめな農夫が喜如嘉の村にすんでいました。妻とは死別して、忘れた形見の一人娘と二人で暮らしていましたが、やがて後妻を迎えることになりました。ところが、やってきた後妻は、初めこそ、良い妻ぶりを見せていましたが、次第に何かと「継子(いじめ」をするという、実に意地悪い女でした。
ある寒い日、継母(は娘に田草取りを言いつけて、自分は家で遊んでいました。田んぼの中にはブーグサという雑草が根を張っていて、娘はなかなか取り除くことができません。すると継母は娘をこっぴどく怒鳴(りとばして、殴(る蹴(の虐待(を繰り返しました。
継母は、なんとか前妻の娘を亡き者にしてやろうといろいろ悪だくみを考え、ある日、ご飯の中に毒(を入れた弁当を持たせて、「ちゃんとブーグサを取り除くんだよ」と田んぼの草取りを命じました。
娘は自分たちの田んぼ近くの木の枝に、継母から受け取った弁当をつるして、田草取りの仕事を始めました。
するとそこへ一羽のカラスが飛んできて、その弁当をつつき始めました。弁当を食べたカラスはすぐに苦しみだして、パタリと木から落ちて死んでしまいました。娘はびっくりして、恐ろしい継母のたくらみを知りました。
「お母さんは、わたしをいじめるだけでなく、殺そうとしている。このお母さんは怖い」恐ろしいたくらみにおびえながらも、心のやさしい娘は死んだカラスを田んぼに近くに葬(りました。そして
フグサてる草や わが命心
がらし飛ぶ鳥や わ親心
−とうたったそうです。
さて娘はカラスの食べ残しの弁当を持って、夕方自宅へ帰りました。継母は、無事に帰ってきた娘をみてびっくりしました。
「なぜ、毒が効かなかったのか、なぜ!」継母は悪だくみが失敗してすっかりうろたえてしまい、娘が持ち帰った弁当を自分で食べて、そのまま死んでしまったそうです。 |